
CADで使うパソコンを買いたいけど、どれを買えばいいのかな?CADの経験者に教わりたいです。
こんな疑問に、デスクトップPC歴&CAD歴19年のわたしがお答えします。
いざパソコンを探すとなると、いろいろ悩みますよね。

パソコン選びって、ポイントを押さえれば簡単なんだよ。
基本的には、使っているCADソフトの動作環境(ストレスなくCADを使えるパソコンの性能のこと)を調べて、その性能を満たすパソコンを選ぶだけ。
そのあとは、予算と”にらめっこ”しながら各メーカーでカスタマイズして決めればOK!

そう言われても、安い買い物じゃないし不安!
…という方のために、なるべく噛み砕いて説明します(`・ω・´)ゞ
CAD用パソコンをデスクトップ型にする4つの理由


デスクトップ型とノート型、どっちを選べばいいの?

CAD用ならデスクトップ型がいいよ。理由は次のとおり。
操作しやすいように配置できる
ノート型パソコンは、本体・モニター・キーボードが一体化しているので、使いやすい位置にそれぞれを配置することはできません。
そのため、画面の位置が下すぎたり、近すぎたり、キーボードが操作しづらかったり…といったような問題がおこります。
CADのように長時間の作業がある仕事だと、ノート型パソコンでは首を下に向け続けるので姿勢が悪くなったり、ひどくなると「ストレートネック」という状態になることも…。

そういえば、姿勢が悪いと肩がこったり頭痛になったり…良いことないよね。

その点、デスクトップ型パソコンはパソコン本体と、モニター・マウス・キーボードなどの機器を、操作しやすい場所に設置できます。
おかげで、CAD操作中の姿勢が崩れにくくなります。

CADは長時間パソコン操作するから、少しでもラクな姿勢の方がいいよね。
お手入れ・カスタマイズがラク
ノート型パソコンは、本体を気軽に開けられないので、カスタマイズやお手入れ(内部の掃除)がしにくいです。
グラフィックボードが壊れても取り替えできず、メモリを1つ増設するのも、メーカーや型番によってはものすごく大変!
物によっては、バッテリーをはずして→裏面のネジをはずして→光学ドライブをはずして→ キーボードはずして……分解しまくって、ようやく交換って感じです。

……一人でやれる?

ぜったい無理。

その点、デスクトップ型パソコンの本体はワンタッチで開けられて、内部のお手入れからメモリの増設、内蔵ストレージ(HDD・SSD)増設などのカスタマイズも比較的カンタン。

自分でカスタマイズしやすいのもデスクトップ型の強みだね。
性能が高いわりに、安く買える
デスクトップ型とノート型で同じくらいの性能を考えたとき、高性能であればあるほど、ノート型の方が値段が高くなります。
理由としては、”薄型で持ち運べる”という利便性をとる代わりに、
このような、デスクトップ型には必要のない部分でお金がかかるため。

CADソフトに必要なスペックを考えると、デスクトップ型の方は値段が安く、カスタマイズ性が高いので、ノート型と同じ金額でも、より高性能なものにできます。

安くて高スペックを求めるならデスクトップ型だね。
ノート型よりモニターのサイズが大きく見やすい
ノート型パソコンは、モニターがパソコン自体のサイズに直結するため、モニターの大きさに限界があります。
定番の大きさは14~15インチくらいで、CADの操作を考えるとちょっと小さめ。
CADはいろいろなアイコンを並べたり、操作ウインドウを開いたり、データの拡大縮小を繰り返して図面を作っていくので、モニターは大きいほうが作業しやすいです。

デスクトップ型はノート型よりも大きなモニターを使って作業できるので、CADの操作がはかどりますし、見やすいです。作図しやすい大きさは、23~24インチくらいが目安。

モニターが小さいと、図面を見渡しづらいんだ。
デスクトップ型のデメリット → 動かせない!
デメリットといえば、「パソコン本体が大きい+モニターが別」なので、「動かせない・持ち運べない」という点。
デスクトップ型は、一度置いたらずっと固定です。基本的には動かしません。

机で作業したり、居間に移動したり、職場に持っていったり……あちこち持って運ぶなら、断然ノート型パソコンの方が便利です。
パソコンを使う場面は人それぞれ違いますし、わたしも今はノート型を愛用して溺愛しまくってます。(用途はCADじゃないけど)
CAD用パソコンを選ぶ前に、4つのチェック項目


まずは次の4つをチェックしましょう。
CADソフトの動作環境
まっ先に調べておきたいのが「CADの動作環境」で、これがパソコンの性能を選ぶ基準になります。
たとえば、AutoCADを販売しているオートデスク社をチェックすると……

(↑)CADソフトがストレスなく動くための基準がわかります。専門用語が分かりにくいかもしれませんが、とりあえずメモっておきましょう。
AutoCAD | 動作環境ページはこちら |
---|---|
AutoCAD LT | 動作環境ページはこちら |
REVIT | 動作環境ページはこちら |
JW-CAD | フリーソフトのため、動作環境の表記なし |
VectorWorks | 公式ホームページはこちら |
SOLIDWORKS | 動作環境ページはこちら |
ちなみに、だいたいのCADソフトは下記の表(↓)のとおりで問題なく動きます。(※これは「2Dの作図がメイン」の場合です。)
パソコン選びで行き詰まったら、ひとまず下記の構成で注文してみましょう。
オペレーティング・システム(OS) | Windows10が主流。 |
---|---|
プロセッサ(CPU) | Core i5以上が安定する。i7以上を選んでおくと安心。 i3は最新のCADだと不安定。 |
メモリ | 体感では8GBで十分だけど、16GBあればなお良し。 |
グラフィックボード(グラボ) | NVIDIA Quadroシリーズを推奨。 |

迷ったら、こんな感じで選ぼう!
ちなみに3D(立体)をメインで作るCADの場合は、さらに高いスペックが必要になるので、出費も大きくなります。
BTOパソコンのメーカー
「BTO」とは、「Build To Order」の略で、「受注生産」のこと。
家電量販店にズラーっと並ぶパソコンは、すでに作り込みが終わっていて、ムダに高スペックだったり、ムダなソフトがインストールされていて高価だったり……いろいろと問題があります。
そこで、今回チェックしておくのが、BTOパソコン!
CPU・グラボ・HDD(SSD)・メモリなどをカスタマイズして注文でき、余計なソフトや付属品が付かないので、安くて使いやすいパソコンになります。

まるで自作パソコンを作るようにパーツを組み替えたり、値段と相談して安いパーツに交換したりと、いろんなカスタマイズができます。(できることに限度もあるけどね)

組み立て時のミスや、パーツの相性を気にしなくていいし、メーカーのサポートも付いて安心!
BTOパソコンは3つのメーカーをチェック!
ちなみに……パソコンは「どこのメーカーで買っても同じ!」というわけではありません。
サポート・サービス体制や、付属するもの、カスタマイズの内容など、いろいろと違います。

くわしくは後述しますが、BTOパソコンは全国展開している次の3つのメーカーが有名どころ。
CAD用のグラフィックボード
各CADメーカーの推奨するパソコン環境を見ると、グラフィックボードはNVIDIAの「Quadro」シリーズを推奨です。
AutoCAD | 最小: 帯域幅 29 GB/秒の 1 GB GPU (DirectX 11 互換) 推奨: 帯域幅 106 GB/秒の 4 GB GPU (DirectX 11 互換) |
AutoCAD LT | 最小: 帯域幅 29 GB/秒の 1 GB GPU (DirectX 11 互換) 推奨: 帯域幅 106 GB/秒の 4 GB GPU (DirectX 11 互換) |
REVIT | Shader Model5対応、DirectX11対応のグラフィックスカード |
VectorWorks | OpenGL 2.1互換グラフィックスコントローラ VRAM(ビデオメモリ)推奨2~4GB(最小1GB) |
Quadroシリーズにはいろいろな種類がありまして……
このように、必要とされる性能に合わせてグラボを選びます。

いろいろあるけど、2DCADならP620やP2000あたりを選べば十分なんだ。
あまり高性能のモノを選んでも、2DCADで使わない性能まで求めてしまうとムダになってしまうし、値段も高くなってしまうので、その辺は見極めが必要ですね。
CAD以外になにをするか?がポイントです。
接続端子に注意すべし!
モニターとパソコン本体を接続する「端子」は、代表的なところで4種類あります。くわしくは、こちらの「パソコン工房」液晶モニターのページがとても参考になります。
モニター側とパソコン側(グラボ側)で端子がちがう場合は接続できません。そんなときは、「変換ケーブル」を別途購入してつなぎましょう。
CAD用のデュアルディスプレイ(モニター2台)
欲を言うと、CAD用として使うならモニターを2台つなぐデュアルディスプレイが便利。
メインモニターでCADを使いつつ、もう1つのサブモニターでさらにCADを使って参考図面をみたり、PDFなどの資料やメールを確認したり……モニター2台での作業効率は、段違いです。
わたしは、職場はもちろんのこと、自宅でもデュアルディスプレイ(↓)です。


画面が2つあると便利そう!将来的に欲しいなぁ。
予算の都合もあると思いますが、将来的に導入するのはアリだと思っています。グラフィックボードを「NVIDIA Quadro」にしておけば、2台目のモニターはいつでも増設可能です。

最近の製品なら大体デュアルディスプレイに対応してるんだけど、念のため問い合わせるのが無難だよ。
CAD用におすすめのBTOパソコンメーカー3つ

CAD用のBTOパソコンメーカーは、次の3つが有名でおすすめです。
BTOパソコンメーカーの調査
各BTOメーカーについて、CAD用デスクトップ型パソコンの価格帯や購入の特典、配送にかかる日数などを比較しました。参考程度にどうぞ。
ドスパラ | マウスコンピューター | パソコン工房 | |
店舗数 | 22店舗 (店舗一覧) | 7店舗 (店舗一覧) | 75店舗 (店舗一覧) |
PC価格帯 ※NVIDIA Quadro ※モニター付き ※Officeなし | 13万円~ | 19万円~ | 15万円~ |
出荷日数 | 一部、当日出荷。 カスタマイズしても 2日で出荷。 (詳細) | 3~4日で出荷。 (詳細) | 最速で当日出荷。 支払い方法により 変動あり。 (詳細) |
特典 | 会員特典 | 各キャンペーン活用 | 会員特典 |
中古販売 | あり | アウトレット品 | あり |

お!ドスパラが安いね~!

他のメーカーは、Quadroで検索したら高スペックだったんだ。
たまたまドスパラにだけCADにぴったりのスペックの機体があった!というだけなので、単純に「ドスパラ安い!」とは言えない点に注意ですよ。
ドスパラ
ドスパラのCAD用パソコンは、カスタマイズして「13万円~」くらいから注文できます。
公式ホームページで「Quadro」と検索すると、他のメーカーに比べて値段の安いパソコンがありました。午前中に注文すると翌日には出荷される「スピーディーさ」もいいですね。
わたしがカスタマイズしてみたドスパラのパソコンは、「raytrek LB(レイトレック LB)」です。2019年5月現在で、モニターなしで97,980円(+税)です。 グラボはQuadro P620。
こんな感じで、あとは梱包送料を含めると、13万円くらい。2台目で考えていて、モニターが不要なら11万くらいです。

とりあげたBTOパソコン3社の中で、CAD用としては一番リーズナブルな値段なんだ。
マウスコンピューター

乃木坂46!ここにします!!!

おちつこうか。
マウスコンピューターのCAD用パソコンは、カスタマイズして「19万円~」くらいから注文できます。
「NVIDIA Quadro」で検索すると、安いパソコンは「法人向け」となっており、個人名のみでは注文できないのが残念。
わたしがカスタマイズしてみたマウスコンピューターのパソコンは、「DAIV-DQZ530E1-SH2」です。2019年5月現在で、モニターなしで149,800円(+税)です。 グラボはQuadro P620。
こんな感じで、あとは梱包送料を含めると、19万円くらい。2台目で考えていて、モニターが不要なら17万くらいです。
ドスパラの「raytrek LB」と比較すると高く感じますが、 理由はマウスコンピューターのQuadro P620搭載のパソコンスペック自体が高いからです。(メモリが倍、HDD容量も倍、CPU性能も上)

ドスパラPCより高スペックだから、CAD以外にもゲームしたい!画像編集したい!という人はコッチかな。
パソコン工房
パソコン工房のCAD用パソコンは、カスタマイズして「15万円~」くらいから注文できます。
店舗数が一番多いので、困ったときでも安心。直接お店に行って、その場で相談しながらカスタマイズ注文もできちゃいます。
「NVIDIA Quadro」で検索すると「ビジネス向けミニタワー」も一緒にでてきますが、個人での注文も可能ですよ。
わたしがカスタマイズしてみたマウスコンピューターのパソコンは、「SOLUTION-M039-i5K-QTS」です。2019年5月現在で、モニターなしで109,980円(+税)です。 グラボはQuadro P620。
こんな感じで、あとは梱包送料を含めると、15万円くらい。2台目で考えていて、モニターが不要なら13万くらいです。ドスパラよりもちょっと高め。

マウスコンピューターのときと同じく、CPUなどのスペック差で高くなっているよ。
CAD用パソコンをカスタマイズ注文するときの注意点

最後に、カスタマイズ注文をするときの注意点を3つあげておきます。
パソコン初心者による自力での交換が難しいパーツもあるので、予算と相談してしっかり決めましょう。
「SSD+HDD」の組み合わせにする
内蔵ストレージには「SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)」と「HDD(ハードディスクドライブ)」の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ザックリ説明すると……

こんな感じで、SSDにするメリットが多いけど、値段が高いわりに容量が小さい。だから、大容量HDDと組み合わせて、快適に使いましょう!というものです。

なるほど、それぞれに「長所」と「短所」があるんだね。
OSやプログラムをインストールするのはSSDに、画像データなどの保存はHDDに……といった感じで使い分けると、パソコンが使いやすくなります。
光学ドライブをオプションで付ける
ソフトウエアが「ダウンロード版」で売られたり、音楽をデータで入手したり……「CD」を使わないことが多くなりましたね。このため、カスタマイズ前は「光学ドライブ」が付いていない場合があります。

ですが、仕事のデータやり取りや、パソコンのリカバリー(初期化)をスムーズに行うためにも、まだ光学ドライブは追加しておく方が無難。
ブルーレイドライブのほとんどの製品はCD・DVDにも対応しているので、ブルーレイもDVDも使いたい!という人はブルーレイドライブにしましょう。

光学ドライブって、まだまだ使われる場合が多いんだよ。
最初の1台なら「モニター」を買う
……あえて言うほどのことではないんですけども。
ただ、BTOメーカー3社とも「モニターが別売り」になっており、注意しないとモニターを買わないまま注文してしまいそうです。
オプションに「モニター追加」の項目すら見当たらない機体もありました。
もちろん、表示価格も「モニターなしの金額」です。安い!と思って飛びついても、モニター足したら高い……というオチもあります。


パソコン本体ばかりでなく、モニターもチェックしましょう!
モニターのくわしい内容は、「パソコン工房」の液晶モニターページを見ていただくと、専門用語の解説が載っているのでわかりやすいですよ。
CAD用パソコンの選び方とおすすめメーカー【まとめ】
チェックすべき項目が多いので、最初はなかなか大変かもしれません。困ったときは各メーカーのサポートに連絡して、直接電話でやりとりした方がいいです。
また、BTOパソコンメーカーのなかでも「パソコン工房」は店舗数が多いので、実際に足をはこんで店員さんと意見交換しながらカスタマイズを決めていくのもいいと思いますよ。
さいごに、BTOパソコン各メーカーのお問合せ先を紹介しておきます。