犬や猫などの動物は、我々の日常生活にとって癒やしの対象であったり、家族の一員とも言える本当に大切な存在です。
しかし、流行りのペットブームの裏側で、毎年何万匹にも及ぶ犬・猫が保健所に送られ、殺処分の対象となっています。
保健所で殺処分される動物の数は、年々減少傾向にあるとは言うものの、我が家で犬を家族に迎えている私の内心は複雑です。
当たり前かもしれませんが、今後も保健所での殺処分は、限りなくゼロに近づいて欲しい、そう願っております。
昨今の日本におけるペットの殺処分について、毎年処分されている数や、実際に保健所で行われる殺処分の方法について見ていきましょう。
保健所で殺処分されている犬・猫の現状について
転勤や高齢など家庭の事情、ペットに対するアレルギーやペット自身のアレルギー、ペットの噛み癖やしつけ不届き、ペット業者の廃業による持ち込み・・・理由は本当に多岐に渡り、保健所へ預けられています。
環境省の「動物愛護管理行政事務提要」統計資料から抜粋して、各項目を見てみましょう。
保健所に引き取られる数と返還・譲渡される犬・猫の数
ペットの殺処分についての認識が年々高まっており、保健所に引き渡される数は減少傾向にある中で、譲渡される数が増加しています。
色々と問題を抱えた子がいる保健所の中でも、引き取り手が毎年増えてくれるのはとても嬉しい事です。
この推移を見てみると、ペットショップだけではなく、保健所にも足を運んでくれる人が今後も増加していきそうです。
保健所に引き取られる数と殺処分される犬・猫の数
殺処分の数は年々減少傾向にあります。しかし、手放しで喜べない現実が。
平成25年度では、保健所で引き取った数の72.7%が殺処分されている現状があります。
保健所の殺処分が減少傾向にあることは、大変喜ばしい事ですし、引き取り手が毎年増加していく事もありがたいのですが、未だに10万匹もの動物が人間の手で処分されているという現実が辛いですね。
この数に、負傷した動物たちも合わせると、殺処分された動物は平成25年度で138,525匹
となります。
平成16年度では負傷した動物たちも合わせて、殺処分された動物は405,793匹で、今の3倍近い数です。
10年ほど前の惨状は本当にひどいものですね。
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コチラの記事では、動物たちが保健所に引き取られた理由をグラフで見ることが出来ます。
ぜひ、当記事と合わせて読んでみてください。
日本における殺処分の方法について
多くの自治体が二酸化炭素ガスによる殺処分
過去の日本においては、保健所での殺処分方法が色々あったようですが、平成7年に動物の殺処分方法に関する指針が発表されてからは、二酸化炭素による窒息死 が多数となっています。
「自治体における犬・猫の引取り等の業務実施状況(PDF)」を見てみると、8割以上の
92自治体は炭酸ガス施設を採用しており、15自治体では獣医師が麻酔注射で一頭一頭、
安楽死を行っています。
「出来る限り動物に苦痛を与えない方法」を求めているが、強制力はなく、財政難に苦しむ自治体では安楽死施設の導入に二の足を踏み、従来の炭酸ガスに頼っているというのが現状だ
(出典:2012年6月20日の読売新聞記事)
保健所から犬の引き出しと譲渡をしている方の声では、実際には全国的に設備の老朽化も進んでおり、ガスが部屋を満たすまでに時間がかかってしまい、規定通りの時間内に息絶える事が出来ずに、生きたまま焼却される事態も起こっているとの事です。(2011年2月)
こういった問題も今では年々改善されているものの、殺処分の辛い現実は変わりありません。
二酸化炭素ガスによる殺処分は安楽死か?
このテーマにおいて、苦しみを言葉で表せない動物と、医学的・動物学的な観点や人間的な
視点で説明する人とで意見がぶつかっています。
全世界、色々な考えの人がいて当然のように、この問題についても多様な意見があります。
犬や猫を家庭に迎えている人、そうでない人、動物が嫌いな人、それに加えて人の性格や
思考、感覚などによっても意見が分かれると思います。
実際に犬を家庭に迎えている私の目線から言わせて頂くと、以下の動画を見た時、とても安楽死とは思えませんでした。「動物は苦しんでいない」とてもそのようには見えませんでした。
【※注意】 殺処分の現実を直視できる人だけ、下記より動画をご覧下さい。
麻酔は、苦痛を感じないようにするためのものですので、苦痛を感じる前に作用していなくてはなりません。
しかし、二酸化炭素の場合は、精神的な恐怖だけでなく、窒息しもがくという過程を経た後、(沈静・麻酔作用というより)こん睡状態になり、倒れています。この順序は、環境省がだしている殺処分方法の指針にも書かれています。
そこに付け加えられている「沈静麻酔作用」という記述が、現在の殺傷方法を肯定する根拠となっているのです。
そして「できるだけ苦痛の無い方法」というあいまいな基準が現状を改善しない根拠になっています。
何かを静かに訴えるような不安げな顔、ガスが充満した時に必死に生きようともがく姿、
亡くなった後まるで「物」のように捨てられる様子、何を取っても辛い光景です。
見知らぬ場所へ連れられて、数日を不安の中で過ごし、最後にはこのような結末。
とても胸が痛みます。
動画を見る勇気が無い、そんな人は無理に見る必要はありません。見ても、直視できないと思います。しかし、そういった事実がここにはあります。
当記事で少しでも動物にとって苦しまない環境であって欲しいと、少しでも考える時間が生まれて頂ければ、それだけでとても嬉しく思います(´ω`)
>>>「ある犬のおはなし ~殺処分ゼロを願って~」 改訂版(Youtube動画)
こちらの動画は、ぜひ一度見て欲しいです。動物を飼っている人は、その子をきっと今より大切な存在に感じると思います。
今まで以上に大きな愛情で、これからも末永く動物とお付き合いしてほしいです。
また、「ひまわりと子犬の7日間」という、堺雅人さん主演の、宮崎県中央保健所で実際に起こった出来事をもとにした映画があります。
私は映画館で見ましたが、とても心に響く映画でした。もしも興味がありましたら、ぜひレンタルしてみてください(´∀`)
さいごに
当記事を書いている最中、何度涙腺が緩んだかわかりません。調べていても、心が痛くなるような記事の山、山、山。その中で、声を出し合い状況改善に動き出している方々も多くいました。
うちの子はアレルギーが酷く、ペットフードは軒並み食べれません。アレルギーカットのフードは市販されていますが、そのほとんどが食べられず、そもそも食べようとさえしません。
なので毎食、食べられるお肉や野菜だけを使ったご飯を手作りで与えています。
通院も多いですし手も焼きますが、苦ではありません。こんなに手を焼く子でも可愛いのなら、次がちょっと特殊な子でも、存分に可愛がってあげられるよなーと思っています。
ペットショップも良いですが、こういった保健所の現実にもぜひ目を向けて頂き、引き取り手が増えてくれたらいいなぁと思います。