たまに芸能ニュースなどでも取り上げられる、肺気胸という病気。あまり聞き慣れない名称かもしれませんね、僕も自分がなって初めて知った病名でした。
再発率が高く、僕は2度の再発で結局3回も気胸になりました。おかげさまで手術してからは再発することなく、元気に毎日を過ごしていますよ。
気胸とはどんな病気で、原因や症状はどのようなものか、どのような治療法があるのかについて、実際の経験談も交えながらご紹介します。
気胸という病気の概要や種類、症状、原因
『気胸』という病気
気胸とは病名というよりは「肺の状態」を示します。
何かしらの原因によって肺に孔が開いて、吸い込んだ空気が肺と肋骨の間に漏れだして、肺がしぼんでしまった状態のことを指します。
タイヤがパンクしてしぼむのと同じ、肺のパンク状態です。
空気を取り込む肺がパンクして穴が開いているので、肺の外にどんどん空気が漏れ出していきます。漏れ出た空気は逃げ場がなく、胸膜内にどんどん溜まっていきます。
結果、溜まってしまった空気のせいで肺が広がる事が出来ずに、どんどんしぼんでいく結果となります。肺が広がらないことで空気が上手く吸えず、息苦しさを感じるようになります。
年齢的には若い世代(10~20歳代)と、高齢者(60歳代)が多いと言われています。また、多くは男性で「背が高い」「痩せ型」「胸板が薄い」といったタイプが気胸体型の特徴です。
気胸の種類と原因について
自然気胸
肺に肺のう胞(別名:ブラ)という、小さな風船のような気泡ができ、それが何らかの原因で破裂することによって肺に穴が開く症状。
僕の計3度の気胸は、全てこの自然気胸でした。
「何らかの原因」とあるように、今のところ明確な原因が見つかっていないようです。
【現在あげられている気胸の原因とは】
- たばこ
- ストレス
- 睡眠不足
- 運動の最中
- 猫背
- 気圧変化
などが考えられるそうですが、いずれも確証は得られていません。
外傷性気胸
何らかの事故や肋骨の骨折、刺傷などによって、肺自体に傷が付くことで穴が開き、気胸になる状態のこと。
事故などに注意すれば、未然に防げるタイプの気胸です。
受けた外傷の度合いによって症状の大きさが異なるため、特に症状がひどい場合は呼吸困難を引き起こしたり、漏れた空気が心臓を圧迫してショック死に至るケースもあります。
外傷性気胸の中でも、胸壁が損傷することで肺に大きな傷ができる開放性気胸は、深刻な症状を引き起こします。大きな特徴として、重度の呼吸困難やチアノーゼの症状が現れます。また、皮膚の下の組織に空気がたまる皮下気腫の症状が見られることもあります。(出典:外傷性気胸の症状・原因・治療【Doctors Me】)
月経随伴性気胸
女性で月経周期と一致して気胸を繰り返す症状です。
30~40代に好発し、多くは右側だけに起こると言われています。一般的には、卵管の子宮内膜症が月経周期に一致して脱落する際に、腹腔内に入った空気が、同じく横隔膜に迷入した子宮内膜症の組織が脱落して出来た孔から胸腔内に入るためと考えられています。(出典:自然気胸PDF)
気胸の症状と痛みについて
気胸の多くは突然発症して、呼吸をしても大きく息が吸えないなどの呼吸困難や空咳、動悸などが見られます。
発症した初期症状は、肩や鎖骨辺り、背中への鈍痛が見られ、その痛みの度合いは人それぞれだそうです。
症状の軽い気胸でも激痛を感じる人がいたり、比較的大きな気胸でも鈍痛程度ですんでしまう人もいます。
この鈍痛という響きがなんとも言葉では伝えにくいのですが・・・!
普段呼吸をするだけでは痛みを感じる事なく、大きく息を吸った時だけ、肺の部分がズーーンと痛むというか。
でも僕は「痛い」という感覚でもなかったんですよ。「肺に違和感を感じる」と言ったほうが伝わるかもしれません。
気胸の再発率について
気胸は再発率が比較的高い病気で、療法によって再発率は変わってきます。
- 自然治癒:再発率 50%
- 胸腔鏡手術:再発率 5~10%
- 開胸手術:再発率 0.5~3%
一般的にはこのように言われていますが、人によって違いは様々で、治療後もしばらくは安静を必要とします。
大きく肺に負担のかかるような管楽器演奏、スキューバーダイビング、飛行機の搭乗などは特に注意が必要となります。
喫煙は厳禁、咳もできるだけ我慢するのが好ましいです。
気胸になった有名人
色々な有名人が気胸を経験しています。それだけ、身近な症状という事ですね。
- ナインティナインの矢部
- 佐藤健
- 相葉雅紀
- 津川雅彦
- ダンカン
- 和田アキ子 などなど・・・
有名ドコロが勢揃いです。
気胸の入院時に用意しておくと便利なもの
自然気胸になり、即入院!
・・・このように突然の入院宣告をされると、身支度をするのも大変なものです。普段から用意出来ているひとなんて、まずいませんし。
僕も入院宣告を受けてから慌てて揃えた物もありましたが、実際に入院してみないと「本当に必要なもの」というのは分からないものですね。
というわけで、僕が気胸で入院時に欲しかったモノを選んでみました。
是非、入院時の参考にしてください。
手軽に頭が洗えるシャンプー
お風呂に入れない場合にとても重宝します。
一部切開を行った僕の手術の場合、しばらく入浴許可が出ず、髪がベタベタで精神的にも本当に辛い思いをしました。
頭がサッパリするだけで、気分も随分と違います!
チェックポイント
- 水を使わず、使用後にタオルで拭くだけでサッパリ
- 髪や地肌を清潔に保てる
- 水が使えない環境(災害時など)でも活用
手軽に顔(身体)を拭けるシート
手術後、動くことさえもままならぬ状態の時に、顔も洗えないという状況になりました。
汗ばみ、皮脂で顔がギトギトになってしまいました。
そんな時に、顔や身体が拭けるシートが大変役に立ちます。特に顔を拭くシートについては数多くの商品がありますので、ぜひ好みのアイテムを探してみてください。
チェックポイント
- 水を使わず、手軽に顔や身体を拭いてサッパリ
- 手が不自由の場合でも、付き添いの人に拭いてもらいやすい
- 手が汚れず、気になった時にすぐ使える
手軽に水分を補給できるストロー
手術後、身体を起こす事が大変だった時に、飲み物をうまく飲む事が出来ませんでした。
首を動かす事だけで精一杯だったため、こういった道具が非常に役に立ちます。これがないと、常に誰かの手を借りるようになってしまい、辛い思いをしました。
チェックポイント
- 唾液の逆流が阻止されるものもあり、衛生的
- 市販のペットボトルに使用可能で、片手で使える
- 付き添い人に頼らず飲めるので、夜中などでも水分補給しやすい
気胸になった状況と、実際に受けた手術・治療について
1回目の自然気胸(症状:軽度)
気胸になった時のこと
24~25歳の頃、朝方の仕事中に突然違和感を感じました。微妙に呼吸がしずらく、深呼吸すると鈍痛(違和感)がありました。
最初は何もわからないので、そのまま昼まで放置していましたが、一向に違和感が消えないのでWeb検索。
すると、気胸というワードがヒット・・・・。
「いや、まさか(笑)(゚∀゚)」と半信半疑になりながらも、すぐ近くの内科に向かい、診察してもらう事に。
そこで絶句でしたが「気胸です、入院しましょう」と即答を迫られました。
幸い、僕の父親は市立病院の医師だったので、病院で撮影されたレントゲンを持って
父親の病院にて緊急処置を受けることとなりました。
病院での処置内容
手術などを受けるのかと思いきや、そういった大掛かりな処置ではありませんでした。
肋骨部あたりから部分麻酔をして身体に穴を開け、内科医さんが注射器のようなもので漏れた空気を外に出すというものでした。
その日はそのまま入院となり、経過を見ることとなりました。
2日ほど安静に過ごし、空気の漏れが無くなったので退院となりました。
2回目の自然気胸(再発1度目、症状:軽度)
気胸になった時のこと
最初の気胸から半年ほど経過した頃でした。
休日に彼女と買い物に出かけようと思い、支度を一通り終えたころ。さぁ!出かけましょうか~って時に右胸に違和感・・・。
(んんー、この鈍痛と違和感はもしや・・・。)
そう思ってすぐ「ごめん、コレたぶん今日出かけらんないわ」と言い、病院に向かいました。
診察の結果、やっぱり気胸で、またもや即入院コースに。
病院での処置内容
前回とは少し違い、今回は胸腔ドレナージという方法でした。
身体に穴を開けて管を入れ、機械を使って漏れた空気と体液を外に排出するというもの。
その状態で数日経過を見て、肺の穴が自然治癒されるのを待ちます。入院期間は3~4日だったと思います。
肺の穴が塞がるまでは、胸腔内に管が入ったままの状態。肺や内蔵?に管が当たって、痛いというか味わったことのない違和感を感じました。
退院時に、次また再発するようであれば、手術が必要だよと忠告を受けました。そのほうが
再発率が低いという事ですが、内心は「もう大丈夫だろ」と軽い気持ちでした。
退院直後、ずっと吸えなかったたばこに火をつけ、また喫煙者に戻っていました・・・。
3回目の自然気胸(再発2度目、症状:重度)
気胸になった時のこと
前回の退院からしばらくして、仕事を辞め、フリーで仕事の手伝いをしていた頃。ストレスが多く、たばこも1日2箱吸うような調子の時に、仕事中に再び違和感を感じました。
それも、どうにも今までより違和感が大きい。背中も痛いし、呼吸も苦しい。
これはまずい!と思い、すぐに病院へ向かうも、その途中でどんどん息が苦しくなりました。最終的には立っているのもしんどくなり、支えられながらいつもの病院へ・・・。
病院での処置内容
病院に入った直後、車いすに座らされ、院内を移動。
大至急レントゲンを取ったのですが、そのレントゲンもいつもの見慣れたやつではなく、写真みたいに撮るのではなくてリアルタイムに内蔵が見えるような?レントゲンでした。
僕自身は「そこまで重症じゃないだろー(笑)」なんて思っていたんですけど、その特殊なレントゲンで状態を見ると、周囲は声を荒げ・・・。
医師たちが「急げ急げ!!」と、まるでTVで見るような慌ただしいシーン。
台の上に寝かされてる僕は「え?なに??俺やべーの??」と少し動揺していました。服をまくられ、局部麻酔→胸腔内ドレナージ→空気吸引→事なきを得ました。
そのまま車いすで病室まで案内され、しばし入院させられるのでした。
胸腔内に漏れた空気が内蔵をかなり圧迫していたため、心臓が危険な状態だったそうです。
・・・そんな時でも、本人はいたって呑気なものでした(゚∀゚)ハハハ
ゴールデンウィークの大型連休を挟んでいた事もあって、手術までに時間がかかり、入院期間は3週間前後になったと思います。
胸腔鏡と、一部開胸(脇の下)による手術をうけ、肺の上部に発生していた肺のう胞を切除するため、肺の上部をごそっと切除・・・。
その段階ですでに、また次に再発するであろうブラ(肺のう胞)がたくさんあったようです。
母親が、切り取られた肺とブラを見て、「たらこみたいだった」と言ってました。
内視鏡手術と一部切開後・・・
胸腔鏡(内視鏡)手術だけの場合であれば、入院期間は短くて済むと思います。
僕の場合、一部開胸もしてる為、かなりの激痛にもだえながら数週間の入院生活となりましたが・・・!
手術後は身体が動かせないので、尿道カテーテルでの自動排尿、食事は上手に自分の口に運べなかったので、母親に頼って食べさせてもらっていました。
肺が胸壁に癒着するまでは、ずっとドレナージの管も体内に突っ込まれ、ずっと内蔵を刺激されて鈍痛を感じた状態のまま。
退院後も、一部切開した箇所についてはしばらく痛みがあり、普段通りに生活出来るようになるまでには、大体2ヶ月ほどかかったと思います。
一部とは言え、開胸というのは身体に与える負担が大きいものでした!
胸膜に肺を癒着させる治療だった為、
「次に再発した場合は内視鏡手術が出来ず、開胸になる」と告げられました。
「少しでも開胸を避けるために、たばこはもうやめるべきだ。再発リスクがあがりますよ。」と、ここでたばこもドクターストップ。
そして禁煙して今に至ります。・・・禁煙出来て、ある意味ラッキーと捉えるべきかな?
まとめ
3度もの気胸を体験し、辛い思いも痛い思いもいっぱいしましたけども、あー良かったなと思えたのが禁煙できたこと。
物事の悪い面ばかり見てると気が病んできますが、良い面もいっぱい見ることができました。
改めて、彼女(現在は妻)や両親の優しさにも気付いて、本当に感謝しました!
気胸は決して珍しい病気ではないですし、若くて痩せ型の人はなりやすいので、体調がおかしいと感じたら早めに病院に行って診てもらうのがいいですよ。