勉強中や仕事中などの集中したい時間に、あなたはどのような飲み物を飲んでいますか?お水やお茶?もしくはジュース、清涼飲料水などでしょうか。
じつは、数々の研究結果から、コーヒーや紅茶などに含まれているカフェインは、「集中力を高め、ポジティブな気分の低下を抑える」ということが分かっています。カフェインには覚醒作用もあるので、眠たいときや集中力が落ちたときの飲み物として最適です。
その一方で、一度に大量のカフェインを摂取すると中毒症状が見られたり、最悪の場合は死に至る場合もあり、カフェインの使い方にはコツがあるようです。
論文による、カフェインと集中力の関係
「コーヒー摂取による作業成績の向上とストレス反応の軽減」という論文に、カフェインが集中力に与える影響について書かれています。
実際に行った実験内容は、次のようなものです。
- 大学生64名(男性36名、女性28名)を対象。
- コーヒーを飲むグループとミネラルウォーターを飲むグループに分ける。
- 「内田クレペリン検査」を行って作業量およびストレス反応を調査。
コーヒーとミネラルウォーターをそれぞれのグループに飲んでもらい、どちらが高いパフォーマンスを出すのかを調べたわけです。
ちなみに「内田クレペリン検査」とは、簡単な一桁の足し算を行い、その結果を元に能力・特徴を測る、日本で開発された心理検査のなかでは、もっとも長く使われている検査のひとつです。
コーヒーのグループは「集中力」が高まる
コーヒー150mlを飲むグループと、ミネラルウォーター150mlを飲んだグループ、それぞれクレペリン検査を行って成績を比べた結果、下記の結果となりました。
- コーヒー:843.8±28.1
- ミネラルウォーター:769.7±27.9
ミネラルウォーターを飲んだグループよりも「コーヒーを飲んだグループの方が正答数が高くなる」という結果です。つまり、カフェインを摂取したグループの方が、より集中してテストに取り組めたわけです。
また、同文献で過去の研究結果にも触れており、下記のように引用されています。
- 【2010年論文】脳内情報処理能力が亢進し選択的注意力が高まる。
- 【2011年論文】中枢神経の活性化、注意集中力の向上、筋肉の働きを活性化する。
- 【2012年論文】カフェイン投与により、自律神経活動が活発化する。
このように、いくつもの研究結果や論文でカフェインに集中力を高める効果があることが認められています。
カフェインはポジティブ気分の低下をおさえる
さきほどの論文では、集中力の他にも「不快なストレス」や「課題への集中得点」などさまざまな分野で、カフェインとミネラルウォーターを比べています。
その結果、今回のような「ストレスを与えるようなテスト」によって引き起こされるポジティブな気分の低下を、コーヒーが抑制する可能性が示唆されました。
また、2010年にはカフェイン入りの歯磨きをすることで、疲労感・倦怠感の低下とともに爽快感・頭のすっきり感の増加も報告されています。
コーヒーブランド「ネスレ」もカフェインの効果について言及しており、「一杯のコーヒーは、仕事や勉強のパフォーマンス向上に役立つ」との見解です。
集中力をアップするカフェインの摂取量・摂取方法
さまざまな実験から、カフェインが集中力をアップする効果が認められました。では、集中力アップするのに必要なカフェイン摂取量と、摂取方法とはどのようなものでしょうか。
具体的には、下記のとおりです。
- 摂取方法1:飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)
- 摂取方法2:サプリメント、医薬品
- カフェイン摂取量:75mg~200mg
- 集中力アップ効果は、通常時±5%ほど
カフェインの摂取方法1:飲料
カフェインの一番オーソドックスな摂り方は、コーヒーや紅茶・緑茶などの飲料水を飲むことです。各飲料に含まれているカフェインの量について、下記の表にまとめました。
参考「全日本コーヒー協会」ホームページより
飲料 | カフェイン含有量(100ml) |
---|---|
玉露 | 160mg |
レギュラーコーヒー | 60mg |
インスタントコーヒー | 60mg |
紅茶 | 30mg |
ココア | 30~35mg |
煎茶 | 20mg |
烏龍茶 | 20mg |
ほうじ茶 | 20mg |
玄米茶 | 10mg |
コーラ | 10~13mg |
玉露入りのお茶が、もっともカフェインを多く含んでいます。コンビニで売られている「①麦茶」「②十六茶」「③爽健美茶」などはカフェインが一切含まれていません。
カフェインは、独特の苦味・渋みがある飲料に含まれているようです。
カフェインの摂取方法2:サプリメント
カフェインを摂るもう1つの方法はサプリメントや医薬品で摂ることで、コーヒーや紅茶の味が苦手な方におすすめの方法です。持ち運びがラクですし、飲みたい時にすぐに飲めます。
このサプリメントの場合は一粒でカフェイン200mgを摂れます。一緒にコーヒーや紅茶を飲んでしまうと摂取量オーバーの危険があるので控えたほうが良いです。(摂取量については後述)
また、眠気やダルさがある場合は、専用の医薬品もあるので活用しましょう。
集中力アップに必要な、カフェイン摂取量と注意点
文献によると、集中力を高めるのに必要なカフェイン量は、約75mg~200mgです。(文献によってバラつきがある)数値の細かな違いはありますが、缶コーヒー1本でも集中力をアップする効果があります。
カフェインを摂るときの注意点は下記の2つです。
- カフェインを一度に400mg以上摂らない
- カフェインに弱い人はミルク・クリームを入れる
カフェインを一度に400mg以上摂らない
農林水産省の「カフェインの過剰摂取について」では、400mgまでは健康に害がないと書かれています。これを1つの目安としてカフェインを摂取しましょう。
カフェインを摂りすぎてしまった場合、下記のような症状が現れます。
- めまい
- 心拍数の増加
- 興奮
- 不安
- 震え
- 不眠
- 頭痛
- 短期記憶の低下
カフェインの致死量は諸説ありますが、短時間で摂取した場合の目安は「3g」ほどです。実際に死亡した例もあるため、過剰な摂取には十分注意しましょう。
カフェインに弱い人はミルク・クリームを入れる
カフェインに弱い体質の人は、少しのコーヒーでも動悸がしたり、落ち着かなくなったり、不安を感じたりします。そんな人は「ミルク」や「クリーム」を入れて飲む習慣をつけましょう。
脂肪分にはカフェインの吸収スピードを抑える働きがあり、体への負担が減ります。
ブラックコーヒーよりも、カフェラテ・カフェオレなどがおすすめです。
まとめ
ということで、集中力とカフェインの研究結果について書いてきました。
- カフェインは注意力・集中力を向上する
- ポジティブな気分の低下を抑制する
- 爽快感・スッキリ感の増加
ということが分かり、カフェインの手軽な摂取方法は下記の2つとなります。
- 飲料(コーヒー、紅茶、玉露茶など)
- サプリメント
カフェインの摂り過ぎは禁物で、一度に400mg以上のカフェインを摂取しないよう注意も必要でした。
カフェインは集中力アップに効果がある反面、悪影響を与える場面もあるため、自分の体調に気を配りつつ適量を摂取して、勉強・仕事をがんばりましょう。
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