勉強中や仕事中などの集中したい時間に、あなたはどのような音楽を聴いていますか?環境音?もしくはクラシックなどのゆったりとした心地よい音楽でしょうか。
じつは、数々の研究結果から「音楽が無い状態が、もっともパフォーマンスが上がる」ということが分かっています。音楽があった方が作業効率が良いと感じてしまいがちですが、音楽は使い方次第でむしろ勉強・仕事の集中力を邪魔するのです。
逆に、感情やスポーツの成果を向上させる効果もあり、どうやら音楽には使い方にコツがあるようです。
論文による、音楽と集中力の関係
2007年の「The effect of background music and background noise on the task performance of introverts and extraverts」という論文に、音楽が集中力に及ぼす影響について書かれています。
実際に行った実験内容は、次のようなものです。
- 40名の被験者に5つの認知テストを行ってもらう。
- このうちの10名に、次の4つのBGM環境下でテストを行った。
- ①速いテンポのBGM
- ②ゆっくりなテンポのBGM
- ③環境音のBGM
- ④BGM無し
- 被験者のテスト成績を比較する。
いろいろな音楽を聴いてもらい、どれが最高のパフォーマンスを出すのかを調べたわけです。
「音楽無し」がパフォーマンスを高くする
この論文の結果は、「背景音(BGMや環境音)の存在下では、無音に比べて、すべての認知課題においてパフォーマンスが低下していた。」という驚きの内容でした。
つまり、無音がもっとも高いパフォーマンスを出すということです。
①速いテンポ、②ゆっくりなテンポの2つの音楽は、気晴らし程度の効果しかないことも分かっており、勉強中や仕事中には不向きであるというのが結論です。
音楽はむしろ「読解の妨げ」になる
音楽に関する別の論文「The impact of background music on adult listeners」でも、「音楽なしの場合と比較した研究では、音楽は読解の妨げになる。記憶力への影響は小さく、感情反応にはプラスの影響を与え、スポーツの成果を向上させる」という結果です。
まとめると、音楽の与える効果は次のようになります。
- 読解 → 妨げる(×)
- 記憶力 → やや低下(△)
- 感情 → プラスになる(○)
- スポーツ → 好成績(○)
音楽は運動成績をアップさせる一方、勉強やデスクワークなどの知的作業には不向きであるという結論でした。
シドニーオリンピック女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんが、練習中にhitomiの「LOVE2000」を愛聴していたのは有名な話で、じつはとても理にかなっていた方法だったのです。
さらに続けると、ウェールズ大学は次のような研究を行っています。
- 自分の「好きな」音楽を聴きながらテストを受けたグループ
- 自分の「嫌いな」音楽を聴きながらテストを受けたグループ
- 音がない状態でテストを受けたグループ
- 被験者のテスト成績を比較する。
3つのグループに分けて、音楽とテストの関係性について実験しています。
その結果、音楽がない状態のグループが圧勝で、音楽を流したグループは自分の好きな曲でも嫌いな曲でも、テストの点数が50%も落ちたという内容でした。
このことからも、音楽は無いほうが良いということが示唆されています。
音楽を聴いた方がはかどる!と思い込むのはナゼ?
クラシック音楽や自然音を聴くと「α波」が出て、ストレス解消や集中力向上、さらには免疫力まで向上するとされています。また、音楽を聴くことでドーパミンが出るため、いい気分にもなります。
じゃあ、やっぱり効果あるんじゃないの?
いい気分になる効果はありますが、その効果のせいで、実際には仕事や勉強が進んでいないのに、さもやり遂げたような感覚を持ってしまいます。その結果、作業効率が上がっていると錯覚してしまうわけです。
音楽は高揚感を与えてくれますが、集中力を与えませんし、むしろ奪う存在です。音楽に気を取られた時点で、作業効率は落ちるということです。
音楽は「いい気分」にしてくれる効果はあるので、勉強や仕事の10~15分前に聴いて、タスク中は無音にするというのが、科学的に最強の音楽活用法となります。
「無音」に近い空間を作る!ノイズキャンセリングとは
ノイズキャンセリング機能付きイヤホンやヘッドホンを使うと、無音に近い空間を作りやすくなります。
わかりやすくすると、原始的なイメージが「耳栓」や「イヤーマフ」に対し、ハイテク化したのが「ノイズキャンセリング」という感じです。
ノイズキャンセリングとは?
ノイズキャンセリングは、外界の音の波形(音波)のうねりに対し、逆位相(正反対の音波のこと)をぶつけて打ち消しあうことで音を消します。
- カフェなどの騒音:プラス1
- 逆位相の音波:マイナス1
- 1-1=0
- このように、互いの音波で打ち消し合う
このシステムは、航空機のパイロットの耳を保護するために、高レベルの騒音をカットしながら管制塔などの外部の通信を可能にするために開発されたものです。全くの無音になるのではなく、人が耳障りに感じやすい40~1,500Hzの音を低減させるものです。
詳しくは下記のSONYホームページをご覧ください。↓↓
ノイズキャンセリング機能付きイヤホン・ヘッドフォン3選
家電雑誌「家電批評」をはじめとする某家電雑誌郡を参考に、高性能ノイズキャンセリングイヤホン・ヘッドフォンを3つ紹介します。
【Apple】AirPods Pro
iPhoneユーザーに人気のノイズキャンセリング機能付きイヤホン、AirPods Pro。圧倒的な騒音の除去精度で一躍大流行となり、品切れ騒ぎにまで発展しました。
ちなみに、わたしもほぼ毎日愛用しています。
音で対抗するSONYに対し、ノイズキャンセリング性能で頭一つ抜け出た、最強とも言えるノイキャンイヤホンです。しかしながら、音質自体はやはりSONYに及ばず……。
「ノイキャン性能を取るか、音質を取るか」この2択になります。
重量 | 5.4g |
---|---|
バッテリー持続時間 | 最大4.5時間(NC ON時) |
接続 | lightning |
Bluetoothバージョン | Bluetooth5.0 |
【SONY】WF-1000XM3
音質の良さが群を抜く、まさにSONY品質のノイズキャンセリング機能付きイヤホン、WF-1000XM3。
ノイキャンイヤホンでAirPods Proと双璧を成す存在で、音質・バッテリー持続時間を優先したい人には、断然SONYがおすすめです。
iPhone以外のユーザーであれば、SONY一択とまで言える商品です。
重量 | 約8.5g |
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バッテリー持続時間 | 最大6時間(NC ON時) |
接続 | Type-C |
Bluetoothバージョン | Bluetooth5.0 |
【SONY】WH-1000XM3
ノイズキャンセリングヘッドホンの中でも人気なのが、最新機のWH-1000XM3。
旧モデルのWH-1000XM2から、さらにノイキャン性能と音質がアップし、ヘッドホンの中で最強クラスの商品です。275gと、重量がそこそこあるものの、バッテリー持続時間は驚異の30時間と最長です。
重量 | 約275g |
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バッテリー持続時間 | 最大30時間(NC ON時) |
接続 | microUSB |
Bluetoothバージョン | Bluetooth4.1 |
まとめ
集中力と音楽に関する研究結果について書いてきました。
- 音楽が流れていると、無音よりパフォーマンスが低下する
- 音楽は読解力を下げる
- 音楽はテストの結果を下げる
ということが分かり、対策としては「無音」の空間を作ることで、下記のようになります。
- 耳栓を使う
- ノイズキャンセリング機能の付いたアイテムを使う
やはり勉強も仕事も、静かな場所でやるに限ります。集中できる環境は工夫次第で作り出せるので、騒音のない静かな空間を作って、作業効率を向上させましょう。
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