女性が妊娠をきっかけに、思い切って禁煙を始める。妊娠が「タバコをやめたキッカケになったよ」という人って、たくさんいますよね?
妊婦さんや胎児にとって、タバコの煙は有害。
「お腹の赤ちゃんのためにも、1日も早く禁煙してあげたい」
…とはいっても、全ての妊婦さんが簡単に禁煙できるわけじゃない。離脱症状がツラくて、妊娠して数ヶ月が過ぎても禁煙ができない人だっている。
「タバコがやめられない…どうしよう」そうやって悩んでいる人が、大勢いると思うんですよ。そこで、妊婦さんがタバコを吸ったり受動喫煙をしたとき、どんな悪影響があるのかについて調べてみました。
しっかり読んで、禁煙の意識をさらに高めよう。また、下記コンテンツにも目を通して、禁煙をより簡単なものにしよう。
妊婦の喫煙(受動喫煙)による悪影響
タバコは、妊娠中の母体にさまざまな悪影響を与えます。
- 低出生体重児が生まれる確率が上昇
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)の確率が上昇
- 流産・早産の確率が上昇
- 指や足、顔に奇形の症状
それぞれ見ていきましょう。
①.低出生体重児が産まれる確率が上昇
「胎盤」は無数の血管の集まり。
赤ちゃんと母体をつないで、赤ちゃんが元気に育つために必要な「栄養や酸素」を送る、重要な役割を果たしています。
ですが、その大切な胎盤の血管は、喫煙(受動喫煙)すると収縮して細くなってしまいます。細くなった結果、赤ちゃんに届く栄養や酸素は不足ぎみに。
血圧が正常付近に回復して、血管の収縮や体温が元に戻るまでは「約20分」ほど。その20分間、赤ちゃんは酸欠と栄養不足で苦しんでいる状態に。
また、胎盤にはフィルターの役割があるんですが、ニコチンは分子が小さく、胎盤のフィルターを通過して胎児に届いてしまいます。
そんな状態が1日に何度も続くと、満足に栄養が送られず、母体の中で元気に育つことができないため、未成熟のまま生まれてしまうんです。
両親とも喫煙者の場合、低出生体重児で生まれる確率は2.8倍にもなります。
夫だけが吸う、いわゆる受動喫煙の場合は1.7倍です。
【参考:出生時体重】
- 巨大児:4000g以上
- 正常出生体重児:2500g以上~4000g未満
- 低出生体重児:2500g未満
- 極低出生体重児:1500g未満
- 超低出生体重児:1000g未満
【厚生労働省による出生時の平均体重】
- 男の子:3076g
- 女の子:2990g
②.異所性妊娠(子宮外妊娠)の確率が上昇
タバコを吸う女性と吸わない女性を比べた場合、タバコを吸う女性の方が「子宮外妊娠になる確率が高い」と言われています。
その確率は、タバコを吸わない女性の2~4倍。
なぜ、喫煙(受動喫煙)が子宮外妊娠の確率を高めてしまうのか。
タバコの煙に含まれるニコチンが分解されるとコチニンという物質が生じますが、今回の研究では、このコチニンがBADと呼ばれる遺伝子に作用して、卵管の状態を子宮で着床が行われるときの様にしてしまうことが明らかになりました。卵管を着床前の子宮と勘違いした卵子が卵管に着床してしまうというわけです。
ついでながら、喫煙者女性は、卵管の表面もデコボコになっていました。(出典:最新健康ニュース 喫煙が子宮外妊娠の原因に)
このように、タバコに含まれているニコチンが卵管の状態を変化させてしまうとのこと。
子宮外妊娠の場合、早期に発見・処置しないと、妊婦さんに命の危険があります。
③.流産・早産の確率が上昇
妊娠中に吸うタバコが与える影響として、特に有名なのが「流産・早産」の増加。
流産になる確率は、妊娠中にタバコを1日15本以上吸う場合、非喫煙者と比べて2倍。
早産になる確率は、非喫煙者と比べて1.5倍。
さらには、28週以降に入ってからの死産が、非喫煙者と比べて1.4倍。
生後一週間以内の赤ちゃんの死亡率が、非喫煙者と比べて1.4倍。
周産期死亡とは、妊娠28週以後に死産したり、生後1週間未満に死亡 (早期新生児死亡)したりすることをいいます。たばこを吸っている妊婦 では、周産期死亡率が高くなり、1.2~1.4倍にもなるといわれています。 そして、たばこの量が増えれば増えるほど、周産期死亡率が高くなります。(出典:広島県禁煙支援ネットワーク)
お腹の中で一生懸命に育っても、生後間もなく亡くなってしまう赤ちゃんもいます。
「私は大丈夫」と気軽に考えていませんか?
④.指や足、顔に奇形の症状
妊娠中にタバコを吸うと、赤ちゃんの成長に必要な栄養や酸素がきちんと送られません。
また、タバコに含まれるニコチンなどの影響を受けて、
- 口唇
- 口蓋裂
- 多指症
- 合指症
- 少指症
- 内斜視
- 外斜視
など、このような外的部分に奇形となって症状が現れます。これらの症状は外科的手術などを行わなければならず、赤ちゃんにとっても大変な苦痛…。
タバコを1日20本以上吸う場合、内斜視は非喫煙者と比べて1.6倍。
同じく、外斜視は非喫煙者と比べて1.9倍。
喫煙を続ければ、赤ちゃんの人生は苦しいものになる可能性があります。
お腹の赤ちゃんのためにできること
妊婦さんが喫煙(受動喫煙)することで、赤ちゃんにはたくさんの悪影響があることが分かったと思います。
「お腹の赤ちゃんを思えば、禁煙なんて簡単でしょ」という意見を耳にしたり目にしたり。確かに、そうですよね。愛しい我が子を思えばこそ、自分の苦労なんて…と。
でも、そう思ったって、すべての人がやめれるわけじゃない。禁煙しろと簡単に言うけど、薬物依存に負けないことって、簡単じゃないんですよね。
夫にも協力してもらおう
育児は夫と妻の二人で行うもので、それは赤ちゃんが産まれる前だって同じこと。
妊婦さんがツラい思いで禁煙をがんばっている傍で、無神経に夫が横でタバコを吸っているような環境はありえない。
その時点で、子どもを「大切な存在と感じていない証拠」だし、タバコを吸い続ける夫の場合は、よっぽど自分が可愛いのでしょう…。
妊婦さんが禁煙を続けても、夫のタバコによる受動喫煙が胎児に与える影響も大きい。
元気な子供が欲しい、そう願うのは当たり前のことだし、そのためには身近な人の協力だって必要です。
では、二人で協力して禁煙するために、どうすればいいでしょう?
タバコのデメリットをかんがえよう
タバコには沢山のデメリットがあるし、妊婦にとってタバコは「百害あって一利なし」の言葉がピッタリです。
まずはこれらの記事で、まずはデメリットをしっかり理解しよう。
そして、妊婦の場合は緊急性もあるので、1日でも早く禁煙に成功すべき。
このため、出費は我慢して、まずはサッサと禁煙外来に相談するべきです。
時間の猶予があるなら他の禁煙グッズを試す余裕もあるけど、妊婦さんの場合はお腹の赤ちゃんの成長を考えると、のんびり禁煙している場合じゃない。
自分の意志で無理なら、禁煙外来など活用できる施設もフル活用しよう。もちろん、これも夫と一緒に!ですよ。受動喫煙もなくさないと危険です。
まとめ
妊娠・出産は女性にとってとても大きな出来事で、一生に数回しかないライフイベント。絶対に後悔したくないし、無事に出産を迎えたいと考えるのが普通です。
しかし、喫煙者は出産がツラいものになる確率が増加しています。傷つくのは自身だけではなく、明るい未来があったであろう「家族全員」がツラい思いをしてしまいます。
僕が気胸になって入院したとき、もうタバコをやめようと考えていました。そのとき、一番そばに居てくれた人(今の妻)も一緒にやめ、その後は二人でずっと禁煙を続けていくことができています。
一人じゃできない事も、二人なら可能になることだって、たくさんある。夫婦、二人協力すればきっと禁煙できると思いますよ。