2019年8月現在、Kindle Unlimitedという読み放題サービスで、本書『破天荒フェニックス』が対象となっていたので、手に取ってみました。
借金だらけで大赤字だった企業「オンデーズ」を買収し、資金ショートを繰り返しつつも地獄の底から這い上がる。
上がっては落ち、また上がっては奈落の底に叩き落とされ……幾度となく味わう失望の中で、それでも諦めず企業再生を目指していく。
死してなお蘇る不死鳥のごとく、ゾンビと化したメガネブランドを華麗に復活させていくフィクション小説です。
約500ページの分厚さで、読み応えのある一冊だったよ!
本書『破天荒フェニックス』は、僕たちオンデーズが歩んできた、そんな10年間のうちの7年間を切り取り、起こった事実をもとにしながらも、一つのフィクション、パラレルワールドの物語として勝手気ままに書き連ねたものです。
『破天荒フェニックス』より
本記事では、田中 修治さんの著書【破天荒フェニックス】の紹介と、本の感想について書いていきます。
著者:田中 修治さん(たなか しゅうじ)
田中 修治さんの紹介
本の概要とあらすじ
年間の売上が20億円に対し、負債が14億円もあるメガネブランド「オンデーズ」を、当時30歳だった「田中 修治」(著者)が買収し、企業再生に賭けた7年間の軌跡を書いたフィクション作品。
ただ、本書のあとがきに書かれているように、「起こった事実をもとに」とあるので、完全なるフィクションではありません。
成功の道筋を描き、動いては失敗し、資金はショートし、地獄の釜の縁を幾度となく歩く……それでも諦めず新たな光明を見つけては、ひたむきにトライする社長と社員の奮闘を描いています。
『借入残高14億円、無担保・無保証。営業赤字、債務超過』
当時、多くの人から「社長個人の連帯保証が無いのなら、何で民事再生を申請しないのか?敢えて全てに個人保証を入れるなんて、お前は馬鹿じゃないのか?」と言われた。
しかし結局、僕は、最後までその道を選択しなかった。
『破天荒フェニックス』より
私は幼い頃からメガネっ子。メガネのフレームデザインやレンズの形、重量にはかなり”こだわり”がありますが、「ブランド」には全くこだわりがありませんでした。
ですが、この一冊を読んで、OWNDAYSがとても気になりました。
【破天荒フェニックス】感想
上昇と下降を繰り返す経営はまるでジェットコースターのよう。その中に数々の名場面がありましたが、その中から次の3つピックアップしました。
30歳にして、この行動力・決断力
私は今年で43歳になりますが、このストーリーの主人公である「田中 修治」が企業を買収して社長になったのは、今の私より10歳以上も若い30歳の時。
もちろん、上を見ても下を見てもキリがないことは重々承知ですが……、30歳という若さにして「億単位」のお金を動かせる度胸と、全くなんの知識もない業界かつ14億円もの負債を抱えた状態からスタートをきった行動力・決断力に圧倒されました。
同じ世の中なハズなのに、背負っている覚悟や吸っている空気が全く違う。
同じビジネスマンの男として、「こんなマイペースな生き方のまま死んで、俺は本当に満足なのか?」と自問自答させられます。
わたしが30歳の時……何してたっけな?
大きな成功の影には苦労がある
本書の始まりは、古びた茶色いレンガで覆われた、10階建ての小さな雑居ビル。
地下の居酒屋から油の匂いがや立ち上り、共用部分の電球が所々切れている薄暗くて陰気な雰囲気が漂う、小さなオフィスからスタートします。
オンデーズの華々しい功績や、築き上げた数多くの人脈・人材、羨ましがられるほどの成功など、「結果」だけを見れば、かつては古めかしいオフィスから始まったことなど、全く想像もできません。
ですが、実際はその小さなオフィスから始まり、全国の店舗を軽自動車で視察に回っては社員の文句・愚痴に耳を傾け、「一番大事なのは『人』なんだ」という信念を貫き、何度も資金ショートになりながらも這い上がってきた、その努力の積み重ねが今の結果として現れています。
結果だけを見て「運がイイんでしょ」とか「環境に恵まれてたんでしょ」と思いがちな自分でしたが、その結果になるまでのプロセスをすっ飛ばして物事を勝手に推測してはいけないな……と。
「勢い」で行ってしまえ!
主人公である田中の「考えだしたら止まらない!やりたいと思ったらやる!」という、一見すると「経営者としてはどうなんだろう?」と疑問に思うような行動も、結果的に功績に繋がっています。
『自分がやりたいと思ったことを、「全力」でやる!』
この一言の重みたるや、計り知れませんね。
経営者たるもの(経営者じゃなかったとしても)、自分がやりたいと思わないことを粛々とやっても、爆発的な成果は得られないものですね。
やりたいと思ったことだからこそ、誰にも負けない程の愛情や熱を注げるし、注いで溢れたものが下へ(部下達へ)流れ込んで、一体感が生まれるのだなと。
これから新しい何かに挑戦して、結果を出したいと思っている人に、ぜひ読んでもらいたい一冊でした。