お金は、持っているだけで幸せになれるものではありませんが、お金があることで避けられる不安はいっぱいあります。
お金で心配しないためには、お金の「正しい扱い方」を十分理解し、納得したうえで使うことが一番の対策です。
とはいえ、「お金の運用」って聞いただけで難しそうだし、どの本を読めばいいか分からないし……。
マネー本はたくさん出版されていますが、冊数が多すぎてどれを選べば良いのかわかりません。
私も、最初はどれを読めばいいのかサッパリ分からない状態でした。そんな中、いくつかの本に目を通して、ようやく「コレだ!」と思った本が【お金に強くなる!】です。
この本に決めた理由は、著者の山崎さんの、金融機関に対する考え方でした。
私の同業者でもある「お金のプロ」の金融機関が、個人の顧客を相手にするビジネスのやり方に腹が立ったということです。
【お金に強くなる!】より
本書では、銀行側に都合のいい運用方法をズバズバ斬り捨てており、「銀行の相談所には近づくな!」とまでハッキリ書いている著者のスタンスに、信頼性を感じました。
また、現職は楽天証券の社員でありながら、大学の講師も勤め上げるほどの手腕なので、そのあたりも高い信用ポイントでした。
本記事は、山崎 元さんの著書【お金に強くなる!】の紹介と、本の感想について書いていきます。
著者:山崎 元さん(やまざき はじめ)
山崎 元さんの紹介
※【お金に強くなる!】より
本の概要
「お金とはどういうものか?」から始まり、保険・ギャンブル・借金・投資・国債・株……お金に関わるさまざまな内容を、全48トピックでまとめた本。
「山崎さんの本は、内容は正しいけど難しいね」と言われたことをキッカケに、私たちのような素人でも分かりやすい「図解本」として書いた!とのこと。
1ページのうち、半分は図解、半分は説明という構成がほとんど。文章がビッシリと並ぶと読みにくくて……という人に優しい作りです。
内容は「浅く広く」といった具合なので、これ一冊だけで投資信託をスタートしたり、国債を買うのは得策と言えません。
まずは広く浅くでもいいから、基礎知識を付けたい!という人に、おすすめの本です。
その他の書籍
おもにお金と投資に関する内容の著書が多いです。
【お金に強くなる!】ポイントを3つ紹介
【お金に強くなる!】の数あるポイントの中から、
上記の3つについて、簡単に紹介します。
お金は「目的」ではなく、自由を増やす「手段」
お金は幸福の要素の一つであることは確かですが、お金だけで人は幸せになれるわけではありません。
<中略>
私のお金の定義は、「自由を拡大する手段」です。お金があれば行きたいところに行け、欲しいものを買うことができます。誰かを助けることもできるかもしれません。
【お金に強くなる!】より
お金って聞くと難しく聞こえますけど、要は商品と交換できるっていうだけのクーポン券です。
自分を「ラク」に「楽しく」かつ「快適に」過ごせるように、そのクーポン券を手段として使う。それが、本来のお金の価値だと筆者は伝えています。
しかし、逆に私は「お金=目的」と考える傾向です。
本来、自由や快適さを得るための「クーポン券」を集めるために、仕方なく「不自由」な環境や「不快」な気持ちで働く……。
これが「手段と目的を履き違えた、本末転倒スタイル」と言われる理由ですかね。そうですね、ゴメンナサイ。
とはいえ、お金自体が大好きな私は、どうしても「お金=目的」となってしまうな。
特に使うアテがなくても、貯蓄金額が増えていくだけで嬉しくないですか?私は超嬉しい。ワクワクします。心躍ります。ただただ、増えていく数字を見るのが楽しい。
もちろん、クーポン券ですから「手段(道具)」としても使うし、でも「目的(目標)」として金額を設定するのも「アリ」だろうと、私は思うんだけどなぁ。
……あなたは、どう思いますか?
給料から天引きして残りの額で生活する
実は私自身は典型的な”お金が貯まらないタイプ”です。私と同じタイプの人ほど給料から「天引き」して貯蓄し、残ったお金で生活することをおすすめします。
不思議なことに、給与が振り込まれる口座から、別の口座にお金を移すだけで、手をつけづらくなるものです。
【お金に強くなる!】より
具体的には、「手取りの3割」が貯蓄できたら素晴らしく、3割貯蓄できていれば、老後におおむね現役時代並みの生活を維持できると著者は伝えています。
支出をコントロールする方法として、次の3つを挙げています。
手取り7割の人をお手本にする
給与振込の口座とは別に貯蓄用口座を作り、給与の3割を先に移動しておく方法。
生活して残ったお金を貯蓄しようとしても、実際はなかなか手元に残らないもの。であれば、先に貯蓄口座に移動して、残った7割のお金で生活をするペースを掴む方が賢明。
クレジットカードは基本的に使わない
カードは支出把握を困難にしやすく、ポイントも余計な支出につながりやすいと著者は伝えています。
人によるかな……と思いますが、金融のプロは考え方が違うようで(汗)
私は「カードが怖い派」なので、カードを使う場面は公共料金・通信料・家賃の支払いなど、生活する上で最低限の利用に留めています。
逆に、昨今はクレジットカードの方が管理しやすい!という人も増えているので、「管理できていれば、どっちでもOK」という柔軟な解釈でいいんじゃないかと。
私みたいに、クレジットカードで管理できないアナログ人間は、現金を使おう!
月2回、2週間分の生活費を引き出す
「何度も引き出す」ことをやめて、引き出す回数は2回まで。足りなければ支出を引き締めよう!と伝えています。
「いつでも引き出せる」と考えてしまうと、ついつい財布のヒモが緩むので、これは良い方法ですね。
パートナーがいる人は、相手の協力も必要!
できる範囲内で、まずは工夫してみることが大切ですね。
老後の不安は金融業界が煽っている
ぜひ知っておいてほしいのは、世の中に蔓延する「老後生活の不安」を、金融業界がビジネスに利用しているということです。
金融業界にとって老後不安は大きな商材。不安を駆り立て、有利とは言えない金融商品を購入させようとしています。
【お金に強くなる!】より
不安につけこまれて、合理的ではない選択をしないように注意しろ!と著者は伝えています。
銀行のビジネスモデルは、
老後の不安を煽って、お金を積み立てるような商品を購入させ、その手数料で銀行は売上を伸ばしています。
……そりゃ老後は誰でも不安になりますよね。国民の半数は不安でしょうし、美味しい商売でしょ?と言われれば、「だろうね」って感じがします。
そういう弱みに漬け込まれないために、
このような対策をしましょう!と筆者は伝えています。
結局のところ、「対策2」が一番重みがあるね。
将来の年金受給額は、今の受給額から2割以上が減るので、コツコツと貯蓄して、将来の不安を消す努力をするのが精神安定上も良さそうです。
【お金に強くなる!】感想
30代の半ば頃に「お金の教養講座」という無料のセミナーを受講して、投資に対する考え方が変わってから、ようやくお金の運用に関する本を手に取りました。
もともとお金の知識が乏しい私にとって、本書は「図解ページがとても多い」ので理解しやすいなって思いました。
しかし、お金のことに興味はあれど、普段読み慣れない金融系の内容のため、読んでいて疲れる!と感じたことも確かです。
1から10までキッチリ読んで身につけるぞ!と意気込むと、とても疲れます。ですので、「全48TOPIC」の中から、興味のある部分だけ目を通すとか、軽い気持ちで読んでほしいですね。
図解入りで優しく説明されても、理解するまではやっぱり時間がかかります。
一方で、ズバズバと歯切れの良い説明は説得力があり、金融のプロが書き下ろした内容なので安心感があります。銀行に肩入れしないところも信用に繋がります。
読んだあとは、銀行に近づきたくないし、支出に目が行くし、貯蓄額を気にするし、投資も視野に入ったし、かなり進化(心境変化)しました。
というわけで、お金の運用について広く浅く学びたい人におすすめの良書でした。